2011年5月7日土曜日

2011 INDYCARシリーズ レースアナリシス 第4戦サンパウロ2:ギャンブルに失敗し、さらにギャンブルを重ねたアンドレッティ・オートスポーツ

Photo:INDYCAR(LAT)
 34周目(月曜のレース再開からだと20周目)、アレックス・タグリアーニ(サム・シュミット・モータースポーツ)のマシンがコースを塞いでフルコースコーションが出された。
 トップを走っていた佐藤琢磨(KVレーシングテクノロジー・ロータス)は、無給油で走り切れると確信してステイアウトという道を選んだ。

 ここで琢磨と同じ作戦に出てポジションを3位から2位に上げたのがマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)だった。琢磨同様にウェットコンディションで速さを見せ、ポジションを上げてきていた彼だが、3位という好位置につけていながらギャンブルに出た。
 しかし、両陣営の期待したイエローはついに出されることはなく、ふたりは給油のためにピットへと向かった。

「燃料が持たない」。その事実を知らされてピットロードへマシンを向ける。ピットもドライバーも大きな失望感に囚われてしまう状況だが、アンドレッティ・オートスポーツはそこから更にもう一度逆転する意気込みを持っていた。マルコにスリック・タイヤ(当然ソフトタイプのレッド)を装着させてコースへと送り出したのだ。路面は徐々にだが乾いて行っていた。可能性のない賭けではなかった。
 結果的には、この作戦も成功はしなかった。マルコは琢磨の8位より6つも後ろの14位でゴールすることになった。
マルコ・アンドレッティ(土曜日)
Photo:INDYCAR(LAT)
 このように、ギャンブルというのは不利に置かれたチームやドライバーが大逆転を狙うためのものなのだ。今回のマルコの場合、他にスリックを履かせたチームがなかったことが示す通り、ギャンブルの度合いは大きかった。しかし、3位にいながらギャンブルしたのは優勝を狙ってのものだったし、スリック装着も狙いは大逆転だった。極めて可能性の低い愚かなギャンブル……と一笑に付する人もいるだろうが、いかにもアンドレッティ・オートスポーツ、いかにもマルコらしい作戦で、こういう存在もシリーズを面白くしていると思う。

 今回のKVレーシングの場合、琢磨をステイアウトさせる作戦に出るのなら、同じく上位を走ってたEJには別の作戦を採らせるべきだったのでは? 琢磨とEJのピットで作戦についての情報交換はなかったのだろうか? 2台以上を走らせる場合には作戦を分けることが多くあるのだが、今回の彼らは2台両方とも同じギャンブルに出た。そこまでコーション発生に自信があったということか? 先頭を行く琢磨はセオリー通りにピットさせ、やや後方の5位を走っていたEJにはギャンブルでトップを狙わせる……というのがベストだったのだろう。そうすればEJの作戦が当たれば優勝。仮に失敗となった場合でも、琢磨で優勝は十分に狙えた。

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2011 INDYCARシリーズ レースアナリシス 第4戦サンパウロ “なぜ、KVレーシングはレース戦略を過ってしまったのか?”
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