2015年5月28日木曜日

2015 INDYCARレポート 第99回インディー500 5月26日:ジェイムズ・ヒンチクリフ退院

シュミット・ピーターソン・モータースポーツは、今週末の代役としてコナー・デイリーの起用を決めたが
ヒンチクリフの容態についてはチームからも明らかにされていない Photo:INDYCAR(Dana Garrett)
左大腿上部と骨盤部の負傷と公表
しかし全治までの見通しなどはアナウンスなし


 5月18日のアクシデントで入院していたジェイムズ・ヒンチクリフ(28歳)が5月26日に退院した。
 ヒンチはインディアナポリスの自宅に戻り、静養する。体は完全に元どおりになるとの診断が出ているが、快復にどれだけの時間がかかるかは、予測も含めて明らかにされていない。今週末にデトロイトで行われるダブルヘダーでは、ヒンチの代役にコナー・デイリーが選ばれている。

 ヒンチが負傷したのは「左大腿上部と骨盤部」とインディーカーのリリースで明らかにされている。しかし、どのような負傷であったかについては一切の説明が未だにされていない。今後もないだろう。インディーカーのリリースでは、「ヒンチクリフはターン3のSAFERバリアに接触して負傷」と記されているが、壁にぶつかることになった原因は、その前に突然発生したスピンであり、そのスピンはインディカーが認可しているサスペンション・パーツの強度不足=破損によって起こったのだった。

なぜ? いまだ使用禁止になっていない強度不足の初期型パーツ

 この件で驚くのは、強度を増やした改良版が全チームに普及している状況下、強度の不足が心配される初期型パーツがいまだに使い続けられていることだ。インディーカーが強度不足を認め、ダラーラ製の新パーツをホモロゲートした。その時点で彼らは強度が不安視されるバージョンを使用禁止にしておくべきだった。
 もちろん、インディーカーだけが悪いのではない。強度増パーツが出ているのを知っていながら、古い部品を長く使い過ぎていた――それもスピードが速く、ストレスも大きくかかるインディで――シュミット・ピーターソン・モータースポーツにも責任の一端はある。

今こそ改めるべきインディーカーの隠蔽体質
 インディーカーがヒンチクリフの容態について情報をブロックし続けている点も問題だ。とにかく何に関してでも隠したがる体質は改善して欲しい。ヒンチのアクシデント直後にプラクティスをストップ。インディー・ライツを先に走らせることとなった際、彼らは全チームに事故原因となったパーツのチェックと強度増バージョンへの交換を要請していたが、その件についても発表は一切されて来ていない。
 インディーカーの指示によるものなのか、チーム=シュミット・ピーターソン・モータースポーツもヒンチの容態について情報を出して来なかった。漏れ出て来る情報を総合すると、サスペンション・パーツが脚部に刺さり(コレは確かに、マシンが壁にハート・ヒットしたことでアームがモノコック・タブを突き抜けて起こったのだから、インディーカーのリリースに間違いがないといえばないのだが・・・)、骨盤のエリアに達したということらしい。そして、生命が危機に瀕するほど大量の出血があった。インディーカーのホルマトロ・セイフティ・クルーたちは優秀さを存分に発揮した。彼らの敏速かつ的確な措置と判断によってヒンチの命は救われた。この点に限ってはインディーカーを高く評価したい。
 インディーカーはヒンチの事故を受け、フロント・サスペンション・ピースの設計変更を行ったようだ。これまたメディアへのリリース提供はない。すでに出回っているパーツに手を加えることでヒンチのような事故が起こりにくくする。そのための指示をチームにだけ出して、この場を切り抜けてしまおう、という考えらしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿