2020年9月14日月曜日

2020 INDYCARレポート 第11戦 ホンダ・インディー200 アット・ミッド・オハイオ Race2 決勝:ミッド・オハイオ2レース目ではコルトン・ハータが優勝

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 

レース2もポール・トゥ・フィニッシュ
アンドレッティ・オートスポート、1-2-3達成

 ミッド・オハイオでのダブルヘダーはどちらもポール・トゥ・フィニッシュとなった。しかし、レース1とレース2では表彰台の顔ぶれが大きく違っていた。
 土曜日のレース1はウィル・パワー、ジョセフ・ニューガーデンの順でチーム・ペンスキ&シヴォレーによる1-2フィニッシュで、3位がアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。
 それが日曜のレース2は、コルトン・ハータ(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)が優勝。2位は唯一2日連続表彰台のロッシで、3位はライアン・ハンター-レイとアンドレッティ軍団が表彰台を独占したのだった。
 2005年のホンダ・グラン・プリ・オヴ・セイント・ピーターズバーグで、アンドレッティ・グリーン・レーシングが1-2-3-4フィニッシュを飾った。1チームによる1-2-3は他にもそこそこあるが、1-2-3-4はこの2005年以外には記録されていない。4台を走らせるチームなどほとんどないし、その全員を上位でフィニッシュさせるのは至難なのだ。あの年のレースは、ダン・ウェルドンが終盤にトニー・カナーンをパスして優勝し、3位がダリオ・フランキッティ。コルトンの父ブライアンが4位で、一緒に喜びつつも少し照れている感じだったが、今日はコルトンが主役の1−2−3となった。そして、ホンダ・インディー200での1-2-3フィニッシュともなった。4位はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)で、5位はマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。シヴォレーの1-2フィニッシュの翌日、ホンダは1-2-3-4-5を達成し、おおいに溜飲を下げたのだった。

オープニングラップでフェルッチの誘発したアクシデントに巻き込まれたパロウとローゼンクヴィストPhoto:INDYCAR (Chris Jones)クリックして拡大

 オープニング・ラップのアクシデントで
セカンドポジションのフェルッチが脱落

フェルッチがコースオフしたローゼンクヴィストの前を通過。フェルッチはこの後ペナルティに Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

 スタートではフロント・ロウの二人、ハータとサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)がバック・ストレッチ・エンドの右コーナーに並んだまま進入。イン側のハータのラインがアウトに膨らみ過ぎ(?)、アウト側のフェルッチは芝生に出て……次のコーナーを横切るように先頭集団に戻って来たものだから、チームメイトのアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴー)とフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)が犠牲者になった。フェルッチ自身も初勝利の大きなチャンスを棒に振った。

ディクソン、単独2位走行中に痛恨のスピン

 土曜日に予選17位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が、日曜日は予選3位。スタート直後にフェルッチがトップ・グループいなくなり、彼は難なく2番手に浮上した。ハータのミスを待つ、あるいはピット・ストップの差、イン&アウト・ラップの差で逆転を狙えばいい状況になった。”あぁ、これはもうディクソン、優勝しなくても、表彰台は外さないだろうな”と思わせることとなった。
 ところが、実質2位を走行中の22周目、ディクソンが高速のターン1で単独スピン! クラッシュやリタイヤは免れたが、20番手までポジション・ダウンした。

ペンスキー勢も前日の勢いなくレースの主導権はAA軍団に

 今度はディクソンが優勝争いから脱落。そして、レース2では前日より暑くなったコンディションに影響を受けてか、チーム・ペンスキーの面々の走りに今ひとつ迫力がなかった。これでレースは完全にアンドレッティ勢のものになった。
ロッシは前日に続いて先輩ハンター-レイをピット作戦でパス。しかし、前を行くハータは若手とは思えない安定感で、アタックを仕掛けられる距離までロッシを近づけさせなかった。

 シーズン11戦目にしてアンドレッティ勢がついに1勝。それは一番の若手によって記録され、チームによる表彰台独占も達成された。残り3レースはロード&ストリート。チャンピオン争いを行なうディクソンとニューガーデンとすると、アンドレッティ軍団の台頭にいより少々厄介な状況になったと言える。

20位まで後退したディクソン
猛烈な追い上げでトップ10フィニッシュ!

 ディクソンは6勝と得意にしているミッド・オハイオで2戦連続惨敗か?
と思われたが、さすがはキング・オヴ・ミッド・オハイオ。スピン後の追い上げがすざまじく、最終的にトップ10入りする10位フィニッシュを達成。チャンピオン争いをしている相手=ニューガーデンはふたつ前の8位。ポイント差を今日は大きく縮めさせはしなかった。
 「ロング・ランでもタイヤが長持ちするマシン・セッティングにしていた。そのため、タイヤが温まっていない状況では内圧がとても低かった。リスタートで苦しんでいたのはそのためで、だから自分は少しアグレッシヴに行った。ターン1で次でオーヴァーテイク・ボタンをプッシュ。ホンダ・パワーがあり過ぎでタイヤがスピンし、マシンもスピンさせることになった。もう完全なるルーキー・ミステイク。チームに申し訳ない。私が冒すべきミスじゃなかった。幸運にも、10位まで挽回してゴールできた。でも、本当ならもっと良いポイントを得られたはずだった」とディクソンは話した。


ニューガーデン、またもチームメイトの後塵を拝す

 アンドレッティのトリオにも、レイホール、さらにはエリクソンにも、今日のペンスキー勢は対抗できず、最終的にシモン・パジェノー、パワー、ニューガーデンの順で、6、7、8位でゴールした。昨日はパワーが勝ち、チャンピオン争いを行なっているニューガーデンは2位に甘んじた。今日もニューガーデンはパジェノーとパワーの後ろでのゴールだった。
 チーム・オーダーを推奨する気はないし、ニューガーデンとしてもチームメイトたちに勝利やポジションを譲ってもらっても嬉しくないだろう。しかし、チーム、もしくは彼らの協力があれば、ニューガーデンはあと14点多く稼げていて、ディクソンとの差は、残り3戦で72点ではなく、58点となっていた。


ピット・シークエンス変更に懸けた佐藤琢磨
16周リードラップを快走するも18位に終わる

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、ハーフ・ウェットの路面でチームがタイヤの内圧設定を間違えたらしく、すぐ前の順位だったルーキーのダルトン・ケレット(AJ・フォイト・エンタープライゼス)より4秒以上遅かった。
 予選がドライではなかったことで、決勝に向けてのセッティングの確認もできず。苦しい状況のままスタートを迎えた。土曜日の予選でアタック時間が不足、次のラップを走れていれば上位に進出できていたはずだったが、それが叶わなかったところで週末全体の歯車が大きくずれてしまった。レース2ではピット・シークエンスを変える作戦でトップに躍り出、好ペースでレースをリードし続けたが、その後にイエローは一度も出されず、挽回のチャンスは得られなかった。

 「トップに立って5秒以上のリードを築くことはできたけれど、もっとマシンを速くしたかったですね」とレース後の琢磨は語った。「ピット・タイミングは変えたけれど、その後はひどいトラフィックでした。次々に自分たちの目の前にピットから出てくるマシンがあって、その度にタイム・ロスを強いられていました」。
 ミッド・オハイオで17位、18位と予想外の厳しい結果しか得られなかった琢磨のランキングは、4番手から7番手に下がった。残るは3戦だ。
以上



0 件のコメント:

コメントを投稿