2018年6月25日月曜日

2018 INDYCARレポート R10 コーラー・グランプリ・アット・ロード・アメリカ Race Day 決勝:ジョセフ・ニューガーデンが完勝

スタートから完全にレースをコントロールしたニューガーデン。今シーズン3勝目でポイントランキングも4番手に浮上 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
PPスタートのニューガーデン、55ラップを完全に制圧! 
 
 ポール・スタートだったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は、ピット・ストップに入った時を除く全ラップでトップを維持し、55周のレースを完全に制圧した。スタート直後に予選3位から2番手へと浮上したライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が全力でプレッシャーをかけ続けたが、両者はほぼ対等かニューガーデンがほんの僅かに速く、ついにハンター-レイはオーバーテイクのためのアタックを仕掛けることすらできなかった。


スピードと燃費、いずれにも不安要素のまったくない走りだった Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
予想を覆したシボレーエンジンの好燃費

 燃費はホンダが有利、と言われて来ているが、今日のレースはフルコース・コーションが一度も出ない展開となりながら、シボレー勢が苦戦するシーンは見られなかった。ハンター-レイとすれば、シボレー・エンジンを使うニューガーデンが先にピットに入り、前が開けた1ラップを全力で走ってポジションを逆転したいところだった。しかし、ニューガーデンの燃費はホンダ・エンジンで走る彼とまったく互角で、3回のピット・タイミングすべてが彼らは同時だった。
 ニューガーデンは、「シボレーがパワーだけでなく、好燃費も提供してくれた。信頼性の高さも含め、彼らの仕事ぶりを誇りに思う」とレース後に語った。ハンター-レイは何度もあともう少し……という距離まで迫った。しかし、ニューガーデンのマシンに並びかけることはできなかった。
 「コースの前半はライアン(・ハンター-レイ)の方が速く、ターン5で接近されることもあった。しかし、僕の方がおそらくコース後半のカルーセルで速かった。そこで差をつけることができたから、彼にアタックをさせない状況を保てたんだと思う」とニューガーデンは振り返った。彼は本当に見事なドライヴィングを55周に渡って続けて見せた。

ニューガーデン「チームとして完璧なレースを戦えた」
 

「毎ラップ、ライアンとの距離、彼の走っているポジションを確認していた。そして、相手を気にし過ぎていると考えるようになって、前だけ見て走ることに変えた。ライアンが危険な距離まで接近したらピットが教えてくれるだろうと、前方だけに集中して走った。それで一息つけるぐらいの差をつけることができた」

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 「今日はチームとして完璧なレースを戦えた。だから勝てたんだと思う。自分はドライヴィングでミスをせず、燃費良く走り、クルーたちはピット・ストップを確実にこなした。そしてどのタイヤをどのスティントに投入するかなど、ピットの採用した作戦も非常に良かった。ピットからの情報によって、コース上で何が起こっているのか、自分が何をすべきなのかを把握して走り続けることができていた。僕らチーム・ペンスキーのロードコース用マシンはとても速い。去年もロード・アメリカで速かった我々だったが、勝つことはできなかった。今週末は金曜日の走り出しから非常にいいセッティングに仕上がっていると感じたので、そこでレース用セッティングを行った。今週はウォーム・アップ・セッションのないスケジュールとなっていたし。そして、金曜に行ったセッティングがレースでに強さを引き出していたと思う」。

フルポイント54点を獲得して首位に50ポイント差に

 2勝した後に5レース続けてトップ5圏外のゴールを重ねたニューガーデンだったが、シーズン3勝目も一番乗りを果たし、ポイント・スタンディングも5番手から4番手へとひとつだけだが浮上。トップを行くスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)との差は、7レースを残して50点となった。もちろん、十分にチャンピオン争いの圏内だ(最終戦は評判の決して良くないダブル・ポイントのままだし)。
 「今週末は本当にたくさんのお客さんが来てくれていた。天候にも恵まれた。ロード・アメリカはインディーカーにぴったりのコースで、ファンは思う存分にレースを楽しんでくれたことと思う。ゴール後のクール・ダウン・ラップを僕はゆっくり走り、コースサイドを埋めていた彼らと勝利の喜びを分かち合った」ともニューガーデンは話した。

力を出し切ったハンター-レイ「今日はジョセフに脱帽」


ニューガーデンと遜色ないドライビングを見せたが、ハンター-レイはオーバーテイクまでには至らず Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  2位フィニッシュしたハンター-レイは、「ゴールまでイエローなしは大歓迎。思いっきりレースできた。それもロード・アメリカという最高のコースで。ドライバー冥利に尽きる。今日はジョセフ(・ニューガーデン)に脱帽だ。彼は素晴らしい走りをゴールまで貫いた。自分としては110パーセントの走りを続けていた。ピット・クルーたちも頑張ってくれた」とコメントした。

したたかなディクソン、予選8番手から表彰台ゲット
 

ニューガーデン、ハンター-レイと微妙に異なるピットタイミングをチョイスしたディクソン。ハンター-レイに迫ったものの攻略できず3位に Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 3位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)のものとなった。8番手スタートからの表彰台フィニッシュは、ディクソンとガナッシのコンビネーションならではのリザルトだ。1回目のピット・ストップ終了時点ではまだ6番手だったディクソンだったが、2回目のピットを終えると3番手に浮上していた。ディクソンは表彰台フィニッシュでポイント・リードを保った。
佐藤琢磨、好走! ウィッケンズ、ロッシをコース上でかわし4位
 

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は4位でゴールした。今シーズンの自己ベストだ。
「スタートは狙っていました。インから行くとかアウトから行くとかは決めていなかったけれど、ロード・アメリカはオーバーテイクのできるコースだし、スタートはその大きなチャンスなので。そして、とても好いスタートを切って4番手まで浮上できましたね。セバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)がフレッシュ・レッドを履いていたので気になっていましたが、彼の前にポジションを保ち、その後の彼のアタックも封じ込めることができました」と琢磨は語った。久しぶりに彼らしい切れ味鋭いスタートが見られた。
 ユーズド・レッドでスタートし、ブラック、そしてユーズド・レッド、さらにはフレッシュ・レッドと繋げるタイヤ・ストラテジーも正解で、一度アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)にターン6でプッシュ・オフされるシーンもあったが、そこで先行を許したロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)も、ロッシもコース上でパスし返して4番手ポジションに戻り、後方に迫ったチームメイトのグレアム・レイホールのプレッシャーも跳ね除け、ゴールまで走り切った。
「これが開幕戦だったら……とも思います。やっとこのチームらしいレースを戦うことができた。シリーズで一番難しいロード・アメリカというロードコースで、タイヤ・マネジメントもキッチリ行って力強く戦い切り、4位でフィニッシュできた。シーズン後半戦が楽しみになった」と琢磨は大きな手応えを掴んだことを喜んでいた。

暫定ポイント・スタンディング(第10戦コーラーGP終了)
1 スコット・ディクソン 393点
2 ライアン・ハンター-レイ 348点
3 アレクサンダー・ロッシ 348点
4 ジョセフ・ニューガーデン 343点
5 ウィル・パワー 328点
6 グレアム・レイホール 278点
7 ロバート・ウィッケンズ 274点
8 シモン・パジェノー 255点
9 セバスチャン・ブルデイ 235点
10  マルコ・アンドレッティ 232点
11  ジェイムズ・ヒンチクリフ 229点
12  エド・ジョーンズ 205点
13  佐藤琢磨 201点
14  トニー・カナーン 173点
15  スペンサー・ピゴット 171点
16  ザック・ヴィーチ 155点
17  チャーリー・キンボール 151点
18  ギャビー・シャヴェス 149点
19  マテウス・レイスト 148点
20  マックス・チルトン 134点
21  エド・カーペンター 128点
22  ザカリー・クラマン・デメロ 94点
23  ジョーダン・キング 88点
24  カルロス・ムニョス 53点
25  ジャック・ハーヴィー 53点
以下省略
以上

1 件のコメント:

  1. 天野さん、取材おつかれさまです。好天のロードアメリカは、きれいでレースも見ていて飽きないドライバーも気持ち良さそうに走ってる感じで私が大好きなレース場のひとつです。ブルデーのトラブルは、残念だったけどディクソンとともにルマン疲れを感じさせないレースを見せてくれましたね‼ノーコーションは、大変だったと思いますが…。レイホールも、琢磨選手も満足のいくレースができたと笑顔を見せてましたし。ただ、ロッシの行為は天野さんはどうお考えですか?私は、ルールはくわしくないけど2回も同じことをしてペナルティがないのはアメリカ人びいきにしか見えないのは私だけでしょうか?これが、アメリカ人じゃなければすぐにペナルティが出てたんじゃないのかと思ってしまいます。アグレッシブなレースは、好きだけど限度があると思うので。琢磨選手も、ヒートしたみたいですが冷静な対応がそのままの順位をキープできたことがすごいと思いました。長々とすみません。次のアイオワも、楽しみにしてます。天野さんも、体に気をつけて取材してくださいね‼

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