2025年7月17日木曜日

ジャック・アマノのインディーカー・レポート メールマガジン:第13戦トロント プレビュー

 

Photo:Penske Entertainment

 

 トロントで伝統的な強さを見せるアンドレッティ・グローバル

 

 今シーズン唯一のアメリカ国外イヴェント=カナダのトロントで開催されるオンタリオ・ホンダ・ディーラーズ・インディー・トロント。


 トロントでのインディーカー人気は高い。それはCART主催時代の1986年から、ほぼ休みなしでレースを開催し続けて来ているから(チャンプカーがIRLに統合された2008年と、パンデミックの2020、2021年はレースなしだった)。

 初レースのウィナーはボビー・レイホールだった。マイケル・アンドレッティは7勝=イヴェント最多。ダリオ・フランキッティが3勝。トロント近郊出身のポール・トレイシー、アル・アンサーJr.、セバスチャン・ブルデイが2勝している。現役勢ではスコット・ディクソンの4勝が最多で、ウィル・パワーが3勝。ジョセフ・ニューガーデンが2勝。最近のウィナーは、去年がコルトン・ハータ。一昨年がクリスチャン・ルンドガールド。は3年前はディクソンだった。


 去年はカイル・カークウッドが2位でアンドレッティ軍団の1-2フィニッシュ。3位はディクソンだった。

 一昨年の2、3位はアレックス・パロウとハータ。


 PP獲得回数は、現役だとハータ、ディクソン、パワーが2回で並んでいて、最多はフランキッティによる5回。次がブルデイの4回。エマーソン・フィッティパルディが3回。マイケル・アンドレッティは7回も勝っているが、PP獲得は意外や1回だけだった。


 去年のポール・ポジションはハータで、一昨年はルンドガールド。どちらもポール・トゥ・ウインだった。一昨年のPPはハータ。


昨年の予選までの流れをチェック!

 

Photo:Penske Entertainment

  去年をもう少し細かに振り返る(チーム名は今年と違うケースだけ表記)と、

予選=Q1のグループ1は、

1 カークウッド

2 スコット・マクロクリン

3 クリスチャン・ラスムッセン

4 フェリックス・ローゼンクヴィスト

5 デイヴィッド・マルーカス(MSR)

6 ニューガーデン

ディクソンが8位で敗退。


Q1グループ2

1 パワー

2 マーカス・エリクソン

3 ハータ

4 グレアム・レイホール

5 ロマイン・グロジャン(JHR)

6 アグスティン・カナピーノ(JHR)


オーワード=7位、ルンドガールド=8位、パロウ=9位と、JHRの奮闘があってメジャーどころが3人もQ1で敗退!


Q2

1 ローゼンクヴィスト

2 カークウッド

3 グロジャン

4 ハータ

5 マクロクリン

6 マルーカス(MSR)

グロジャンがファスト6に進み、ニューガーデン=7位、

パワー=9位で敗退。


Q3

1 ハータ

2 カークウッド

3 ローゼンクヴィスト

4 マクロクリン

5 グロジャン(JHR)

6 マルーカス(MSR)

Q3でハータが覚醒。カークウッドとアンドレッティのフロント・ロウ独占を達成。

アンドレッティと提携するMSRのローゼンクヴィストが3位。

 

気になる週末の気温はマイルドになる予想

 

 今シーズン、インディーカーがレース訪れるエリアは涼し目のコンディションになることが多い。今週末のトロントもそのパターンとなりそうだ。現在出ている予報だと、最高気温は金曜日が23℃、土曜日が25℃、日曜日が27℃! 1日ごとに気温は上がるが、かなりマイルドな陽気の週末となりそうだ。実は、去年もそんなコンディションだった。レース中の気温は25〜27℃だった。トロントもミッド・オハイオと同じく暑くなるレースというイメージが強いが……。

 

ハータ、得意のコースで低迷脱出を図れるか?

 

 去年のレースが行われた時、NTTインディーカー・シリーズはすでにハイブリッド・システムを採用していたので、今年はエアロ・パッケージもタイヤも去年と同じものでの戦いとなるはず。ということは、予選でも決勝でも1、2位を占める強さを発揮したアンドレッティ・グローバル勢が今年も速いのだろうか? カークウッドは今年のストリート×2戦で優勝しているし(ロング・ビーチとデトロイト)。元・親玉のマイケル・アンドレッティが圧倒的な成績を残したトロントのストリートで、ハータは何としても復活を遂げたい。今年は不運やミスでまったく成績を出せていないに近いが、昨年優勝しているコースでどこまでハイ・レヴェルな戦いを見せるか。このまま低調でシーズンを終えるなど、本人が絶対に受け入れられないだろう。

 

揺るぎそうにないホンダ勢の優位

 

 去年はホンダ勢の1-2-3-4-5-6-7フィニッシュだった。アンドレッティ勢の後ろの3、4、5位はチップ・ガナッシ・レーシングのディクソン、パロウ、マーカス・アームストロングだった。そして、6、7位は今年はシヴォレー陣営で走っているデイヴィッド・マルーカス(メイヤー・シャンク・レーシング)とクリスチャン・ルンドガールド(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が入った。

 シヴォレー苦戦の第一要因は、チーム・ペンスキー勢の不振。トロントでの彼らはトップ10にひとりも入れなかった。崩壊はしていないが、”かなりの低迷ぶり”と表現して良い苦境に昨シーズンの時点で既に陥っていた彼らは、今年は更に厳しい戦いを強いられている。

 ペンスキーの代わりにアロウ・マクラーレンが奮闘しているといえばしているが、まだ1勝を挙げたのみ。シヴォレー勢の苦しい戦況は、トロントでは大きく変わることはないだろう。高回転域を保って戦うオーヴァルでは優位にあるシヴォレー・エンジンだが、ドライヴァビリティが武器となるストリート・コースではホンダ・エンジンにアドヴァンテイジあり。燃費性能でもホンダが優っている。

 

シヴォレー勢で活躍が期待されるエド・カーペンター・レーシングの2人

 

 トロントで期待のできるシヴォレー勢の筆頭はマクラーレンだが、エド・カーペンター・レーシングも活躍の予感アリ。近頃の彼らのレヴェル・アップぶりは素晴らしい。クリスチャン・ラスムッセンの方が目立っているが、アレクサンダー・ロッシの加入とエンジニアリングの強化の相乗効果でチームのレヴェル・アップしたのは間違いない。コース・タイプに関係なく昨年よりも上位で戦えているところがいい。

 その一方で、ロードコースで速さを見せてきているレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、デヴリン・デフランチェスコは地元でのレースとなるが、トロントでのパフォーマンスはどうか? デイル・コイン・レーシングのリナス・ヴィーケイの走りも好走を見せそうだ。


以上


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