2011年8月31日水曜日

2011 INDYCAR レースアナリシス R13 インディ グランプリ オブ ソノマ:3ストップ作戦はもともと成功確率が低かった! 終盤にフルコースコーション1回という展開も味方せず

11周目までにピットインしたのは琢磨を含めて6人

 フルタンクで25周を走るのがそれほど難しくないインフィネオン・レースウェイ。レースは75周。2ストッでゴールすることは十分可能だった。多少の燃費セーブは必要となるが、フルコースコーションが少し出れば、その心配もなくなる。それでも3ストップの作戦で戦ったチームは少なからずあった。予選21位だったトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)が5周を走ったところで先陣を切り、翌周に予選22位だったシモン・パジェノー(HVMレーシング)が続いた。8周目にはJR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング:予選20位)、ビットール・メイラ(AJ・フォイト・レーシング:予選28位)、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング:予選26位)がピットへと滑り込み、佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス:予選16位)は11周で最初のピットストップを行った。
 カナーン、メイラ、キンボール、琢磨はブラックタイヤでのスタートで、最初のピットストップで彼らはレッドタイヤへとスイッチした。彼らは3ストップをレース前から想定していたと思われる。
 その一方でパジェノーとヒルデブランドは、スタート時がフレッシュのレッドタイヤ。序盤に幾つかポジションアップする目論見が外れ、ピットタイミングをズラす作戦に変更したってところか。新品で10周だけというのはもったいないが、同じセットをレース中にもう一度投入することは可能だ。
 なお、パジェノーはここでブラックへスイッチし、ヒルデブランドはユーズドのレッドをチョイス。不利を有利に180度変えようと、チームによって様々異なる作戦がトライされているのだ。
 しかし、インディ グランプリ オブ ソノマでは、スターティンググリッドの良し悪しに関わらず、ピットストップ2回でゴールまで走るのが正解だった。これはもちろん結果論なのだが……。


イエローコーション出ず、目論見は外れる結果に

 では、3ストップに大きな可能性があったのかというと、ストレートに言うなら、実際にはそうではなかった。予選結果の悪かったチームは、大きなギャンブルでチャンスを掘り起こすと考える。そういう時、本当は小さいものしかない可能性が、彼らには実物以上に大きく見えてしまうものなのだ。
 KVレーシングの場合、予選22位のカナーンを3ストップで戦わせるのはアリだったと思われる。上記で早めにピットインした面々は、琢磨以外は予選20位以下だった。
 予選16位だった琢磨は、スタートでルーキーのマーティン・プロウマン(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)をパスして15位へポジションアップ。グレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)の後ろを走った。
 そのポジションを放り出してピットインさせた結果、コースに戻ったら自分より5つも後方のグリッドからスタートしたカナーンの後ろを走る羽目になった。
 さらに、エド・カーペンター(サラ・フィッシャー・レーシング)に追いついたKVコンビは、彼をパスできずに遅いペースを8周以上も強いられた。
 KV陣営は、朝のファイナルプラクティスでレッドを使わなかった。チームとして3ストップにかなり傾いていたのだろう。コースの空いているところへ出したカナーンのペースが良いことが確認されると、では琢磨も……と彼らは5号車をピットへ呼び入れた。しかし、琢磨の置かれていた状況を考えると、あのタイミングでピットインさせるのはもったいなかった。ブラックでスタートしていながらマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)の後ろの15番手を保ち続けることができていたからだ。


3回ピットストップ作戦の最上位はパジェノーの15位

 琢磨が1回目のピットに向かう時、彼の視野にある2つ前のポジションを走っていたレイホールは8位でゴールした。琢磨より3つ後ろを走っていたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は10位フィニッシュを果たした。琢磨がスタートで抜いたルーキーのプロウマンも12位で完走。3回以上ピットした中でのベストは、パジェノーによる15位だった。彼は7つもポジションアップしたのだから、それなりの達成感が得られただろうと思ったら、ひとつ後ろの23位スタートだったセバスチャン・サーベドラ(コンクェスト・レーシング)が、彼よりひとつ前の14位ゴールしていた。
 3ストップ組が期待したフルコースコーションは出なかった。やっと出たのは終盤の66周目と、もう全員がゴールまで走り切るだけの燃料を積んだ後だった。



 

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